福祉住環境コーディネートの必要性

日本では、平均寿命の伸長、そして少子化が反映され、
急激に高齢化が進んでいます。

 

2050年には、国民の3人に1人が65歳以上の高齢者という
超高齢化社会の到来が予測されるほどです。

 

一方、核家族化の進行や、女性の社会進出により、
かつての高齢者介護の場であった家庭内には、
以前のような介護力はありません。

 

そこで、高齢者がなるべく自宅で自立した生活を送るために、
住環境整備が必要となってきます。

 

福祉住環境コーディネーターの誕生

 

このように考え方や福祉施策が移行し、
何らかの障害があったとしても住み慣れた自宅や
地域で安心して暮らしたいと願う人が増えている昨今、
その願いの実現を目指す事が必要です。

 

福祉住環境コーディネーターは、
このような福祉の流れに乗って誕生した新しい資格です。

 

そして、福祉住環境コーディネーターは、
福祉、医療、建築関連の幅広い知識を身につける事が必要です。

 

さらに、各専門家とも連携しながら、
個人に最適な住環境をコーディネートしていきます。

 

 

福祉住宅環境コーディネートの必要性

 

健康な人が生活するには、何の問題もない住宅であっても、
加齢に伴う身体機能の低下や疾患を持った高齢者にとっては、
大きな危険性のある住宅も少なくありません。

 

たとえば、廊下と部屋との境の僅かな段差でも、
転倒の原因となり、骨折という事態を引き起こす事もあります。

 

また、日本の住宅は夏向きに作られていることが多く、
室内ごとの気温差が大きいということも、
循環器系に病気のある高齢者にはとても危険です。

 

循環器系に病気のある人には、
大きな気温差は身体に大きな負担がかかります。

 

温かい部屋から寒いトイレに行って用を足したり、
入浴のために寒い脱衣所で服を脱ぎ着するなどは、
とても大きな負担がかかり、危険なのです。

 

また、比較的健康な高齢者であっても、
転倒や転落、墜落、溺死など、
家庭内の事故でなくなる例もあります。

 

特に、入浴中に溺死する高齢者はとても多いです。

 

浴室は、高齢者にとって最も危険な場所のひとつであると考えてよいでしょう。

 

 

高齢者を寝たきりにさせないようにするためには

 

・寝かせきりにしないようにする。
・本人の生活への意欲を大切にする。
・食事や排泄など、生活動作はなるべく自分でできるようにする。
・生きがいを見つけて生活にメリハリをつける。
・早期のリハビリ開始をする(早期のリハビリが高い効果を生む)
・福祉用具の活用、住宅のバリアフリー化により行動範囲を広げる。
・寝たきりになってしまう要因になる骨折や脳卒中を予防する。

 

日本の住宅は在宅介護に向いていない

 

従来の日本家屋は、在宅介護には向いていないといわれています。

 

なぜなら、日本で木造住宅を建てるときは、
伝統的に、「尺貫法」が用いられてきました。

 

・尺貫法とは

 

尺貫法とは、長さの基本単位が「尺」で、重量の基本単位が「貫」という
日本古来の単位方のことです。

 

現在のメートル法が導入されてからは、公式には尺貫法の使用は廃止されています。
しかし、在来工法の木造住宅では、現在でも尺貫法が用いられています。

 

・在来工法

 

在来工法とは、プレハブやツーバイフォーなどの
新しい工法ではなく、日本に在来する木造建築工法のことをいいます。

 

 

そのため、廊下や階段、開口部等の幅が広く、
介助を必要とする高齢者や福祉用具を使用する高齢者の室内移動に
不都合を生じさせているのです。

 

また、日本建築の特徴である玄関の上がりがまち、
廊下と室内との段差も、高齢者の生活動作を不便にしています。

 

畳などの床に座る、たたみに布団を敷いて寝る、
和式トイレでしゃがむという和風の生活様式も、
身体機能が低下した高齢者には向いていません。

 

このような住宅構造上の不都合が、
高齢者の室内移動を制限し、
多くの寝たきり高齢者を生み出していると言っても過言ではありません。

高齢者の日常災害の種類と場所

<落下型事故>

 

墜落: 高いところから空中を落下する事故
    手すりや窓、窓の手すりなど

 

転落: 階段やスロープ等の高いところから、それらに身体を接しながら落下する事故
    (転がり落ちる事故)
    階段や階段の周辺

 

転倒: 床や地面などの同一水平面上、それに近い状態の面上で身体のバランスを失って倒れる事故
    床底上げ、床の段差など

 

落下物に寄る打撲: 落下や飛来してきた物体に当たる事故
          天井や壁、照明器具など

 

<接触型事故>

 

つぶされ: 倒壊・転倒してきた重い物体につぶされるなどの事故
      ドアや窓など

 

ぶつかり: 物にぶつかる事故、動いてくる物にぶつけられる事故
      ドアなど

 

はさまれ: 物の間、物体内の狭い隙間に身体の全部、または一部をはさまれる事故
      ドアや窓など

 

 

こすり: 身体の一部を粗い表面にこすってしまう事故
     壁仕上げなど

 

鋭利物による傷害: 鋭利なものによって、身体の一部を切る、刺すなどの事故
          ガラスなど

 

<危険物型事故>

 

やけど・熱症: 高温の物体に触れて生じる事故
        熱源や熱源周辺など

 

感電: 電位差のあるものに触れて生じる事故
    電気設備、器具など

 

ガス中毒・酸欠: ガスにより中毒を起こす事故、酸素欠乏により窒息する事故

 

溺水: 水の中でおぼれたり窒息する事故
    風呂、池など